文化の異なる人とのコミュニケーションで、工夫していることとは…?(横浜市で暮らす外国人トークリレー/第15回)
外国につながる皆さんに、生活の中での日本語との関わりについて話していただくコーナーです。
ジュディリン・オリランダ さん
フィリピン出身/日本に住んで1年
「日本語でのコミュニケーションスキルを磨いて、友だちの輪を広げていきたい!」―そう語るのは、人とコミュニケーションをとることが大好きで、みんなを笑顔にする不思議な力があるジュディさん。その「不思議な力」に隠された、ある工夫とは…?!日本で体験した楽しいエピソードとともに、来日前から頑張っている日本語の勉強などについて語っていただきました。
好きな日本語:「愛してる」です。夫によく使います。夫が好きな日本語は「すみません」です。便利なことばだからだそうです。
日本に来た理由を教えてください
夫の仕事で日本に来ました。私自身は日本で暮らすのは2回目で、5年ほど前、千葉県の水産加工会社で働いていたことがあります。
だから日本語を話すのが上手なのですね。
千葉に住んでいたころは、日本語の勉強はほとんどしていませんでした。当時の職場はフィリピン人が多く、タガログ語だけでコミュニケーションがとれていたからです。レストランで注文するなど日本語が必要な時も、スマホの翻訳アプリを使っていました。日本語を本格的に勉強し始めたのは、ここ1年です。
たった1年ですごいですね。どのように日本語を勉強してきましたか。
今回の来日前に、60時間ほどオンラインレッスンを受けました。日本に来てからは、コンビニやスーパーマーケットなどで、日本語を見たり聞いたりして勉強しました。覚えたての日本語を使う時は勇気がいりますが、コミュニケーションがとれた時、嬉しくて勉強のモチベーションが上がります。
また、子どものころ日本のアニメをよく見ていたので、「意味は分からないけど知っている日本語」がいくつかありました。勉強をしているとそのような日本語に出会うことがあり、意味が分かるととても嬉しい気持ちになります。頻繁に耳にしていたのは、「食べてね」「助けてください」など、今思えば日常的に使える日本語ばかりです。日本のアニメは世界で人気ですので、私のように楽しみながら勉強する人も多いのではないでしょうか。
日本での生活は楽しいですか?
とても楽しいです!私たち夫婦は旅行が趣味なので、毎週末のようにどこかへ出かけています。「すみません」「これはどこですか?」など、勉強した日本語を積極的に使っています。また、日本人は礼儀正しくて、親切な人が多いですね。
こんな素敵なエピソードがあります。横浜駅の近くで目的のレストランを見つけられず、ケーキ屋の店員さんに道を尋ねた時のこと。彼女はわざわざ上司に許可を取り、目的のレストランまで連れて行ってくれました。私はお礼を伝え、後日、彼女が働いていたお店でケーキを買いました。こんなに温かい気持ちにしてくれる日本が、とても大好きです。
笑顔になれる、とても温かいお話ですね。今通っているYOKE日本語教室はどうですか。
すごく楽しい教室で、笑顔が絶えません。日本語でつまずいた時は、クラスメイトやサポーターさんが優しく教えてくれ、いつも温かい雰囲気の中で日本語を学んでいます。クラスにはいろいろな国の人がいますが、覚えたての日本語を使いながら、楽しくコミュニケーションをとっています。
クラスメイトやサポーターさんたちと仲良くなり、一緒に食事をしたこともあります。教室での楽しい体験が「もっと日本語の勉強がしたい」という思いにつながり、今は日本語能力試験(JLPT)合格に向けて勉強を続けています。
ことば、文化の異なる人とのコミュニケーションで工夫していることはありますか?
まずは、私自身がいつもポジティブでいることでしょうか。悩みや困りごとがあったとしても、いつも笑顔でいるよう心掛けています。他には、一方的なコミュニケーションにならないよう、相手の気持ちに寄り添うことを大切にしています。例えば、自分の話すスピードを落とし、ことばをできるだけはっきりと発音する。そうすることで、相手が自分のことばを理解しやすくなります。 また、礼儀正しい態度で話すことも大切だと思います。 心地よい関係を築きやすく、よりスムーズに会話をすることができるからです。
日本語の勉強をして、何ができるようになりたいですか?
YOKE日本語教室に参加して一番嬉しかったことは、仲のいい友だちができたことです。横浜での生活が、もっと楽しくなりました。ですので、日本語をもっと勉強して、日本人ともっと上手にコミュニケーションをとり、友だちの輪を広げていきたいと思っています。また、日本語の勉強をとおして自信を持つことができ、新しい仕事を見つけることができました。今は日本の子どもたちに英語を教えていますが、いつか外国の子どもたちに日本語を教えられるといいなと思っています。
(掲載誌:ニュースレター「にほんごコミュニケ―ションmini」2024年9月号)
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