就学前の子どもと親を支える~外国人親子日本語教室を開催しました!~(情報冊子 2021年3月号掲載)

外国出身の保護者にとって、ことばや文化の違う日本での子育ては、心細く孤独に感じることも多いでしょう。しかしながら、親子で日本語が学べる場はまだ十分ではないようで、「学びたくても学べない」という声をよく聞きます。YOKEではその状況を改善すべく、これまでさまざまな取組みを行ってきました。その取組みの中から、今年度行った日本語教室(オンライン/対面)の様子と、支援者のヒントになりうる各種リソースをご紹介します。

オンラインで、心と身体をリフレッシュ!
おやこ で にほんご -オンラインで はなそう

 YOKEとしては初めて、オンラインによる親子日本語教室(2020年11月26日・12月3日)を開催し、コロナ禍で外出を控えることも多い外国人の親子に、自宅で気軽に参加できる日本語学習の機会を提供しました。講師は日本語教師で、親子日本語サークルを主催する福村真紀子さんです。子どもと親が一緒に楽しみながら日本語を学べるよう、アイディアを出し合いました。
 オンラインはインターネットの環境があれば、場所を問わない便利さがあります。しかし、お互いの声が聞き取りにくい時もあり、特に小さい子どもがいると、集中できないこともあります。そこで、必要に応じて多言語で説明できるよう通訳を用意し、子どもの世話をしながらでも参加しやすい環境となるようにしました。

 第1回のテーマは「おべんとう」で、色や食品名、料理や食事で使う表現などを学びました。講師が指定する色の物を各自が家の中から探してきて紹介するゲームや、「わたしが考えたおべんとう」の絵を描いて紹介し合う活動など、動きのある楽しい時間となりました。
 第2回は、「からだ」をテーマに、歌いながら体の部位のことばを覚えたり、親子ヨガで、ヨガ講師の指示を聞きながら体を動かしたりしました。コロナ対策についても、お互いにどのような対策をしているか話しながら、日本語での表現を学びました。
 オンライン教室というと、パソコンの前に長時間座るイメージがあるかもしれませんが、オンラインならではの活動を取り入れながら、活発な動きもある楽しい教室になりました。

直接会って、楽しく触れ合う
おやこ で にほんご ~つるみ で はなそう

 鶴見国際交流ラウンジでも親子日本語教室を計画し、同ラウンジで活動している「外国人親子カンガルーサロン」のスタッフの方々の協力を得て、コロナ対策にも十分気を付けて実施しました。
 第1回(12月7日)は、「おでかけ」というテーマで、挨拶やお互いを知るための日本語を勉強しました。数字の数え方やじゃんけんの仕方など、国による違いを紹介し合ったり、手遊び歌や読み聞かせも取り入れ、子どもも楽しめるような工夫をしました。後半はクリスマスに向けた工作をしながら、物の貸し借りのためのやりとりなども実践しました。
 第2回も予定していましたが、参加申込みのあった皆さんの都合が悪くなり、スタッフで振り返りと情報交換の会を行いました。就学前の子どもと親が日本語、保育園、幼稚園や学校のことを知る機会の必要性を再確認し、講座の内容、開催時期などについて話し合いました。

♪参加した保護者の声

日本の文化を知ることができました。いろいろな国の人に会えたのもとても良かった。

子どもと日本語で遊ぶゲームが知りたいです。このような講座をこれからも開催して欲しい。

YOKEスタッフ

オンラインではヨガを取り入れながら、身体を動かし楽しみました。鶴見国際交流ラウンジでは、絵本の読み聞かせの時に子どもが駆け寄る場面もあり、対面ならではのコミュニケーションをとることができました。

YOKEホームページでは、就学前の子どもと親の支援を充実させるための各種リソースを無料で公開しています。どうぞご活用ください。

①おやこにほんごタイム活動ネタ集

「おやこにほんごタイム活動ネタ集」は、さまざまなシーンでの日本語を、子育てに必要な情報と絡めながら学べるよう作られた教材です。今回の親子日本語教室でも活用しました。
 例えば「お弁当」では、色別に分けられたおかずのイラストを使用し、お弁当づくり体験ができるようになっています。多彩なイラストで、視覚的にも楽しく、分かりやすく使用できるよう工夫しています。また、教室を進める上でのヒントや展開例も載っているため、さまざまな教室で使うことができます。ほかにも、「病気・病院」「保育園・幼稚園」「年中行事」などのテーマがあり、就学前のお子さんと親にとって必要な日本語に関する情報が得られます。

②外国人親子のための支援調査報告書

 さらに、「横浜で生活する就学前の外国人親子のための日本語学習支援・子育て支援調査報告書(2014年/ YOKE)」では、​就学前の子どもと親に、どのような支援、課題があるかなどについてまとめています。

③学習支援教室活動ヒント集

 子どもが小学校に行くようになると、日本語学習がますます必要になります。そこで、YOKEでは、主に小学校入学以降の子どもを対象とした「外国につながる子どもの支援事業」で、支援に役立つ資料を作成しています。
「みんなどうしてる?~外国につながる子どもの学習支援教室 活動ヒント集」は、横浜の支援者の皆さんの工夫やアイディアをまとめたものです。教室ごとの様々な活動を共有することで、より良い活動のヒントとなることを期待しています。現在学習支援をしている方も、学習支援を始めてみたいという方も、ぜひご活用ください。(終)

関連記事