地域の日本語教室との出会いが、日本で生活していく上での自信につながったというシュミットさんのお話(横浜市で暮らす外国人トークリレー/第7回)

ヨアヒムシュミット さん

ドイツ出身/日本に住んで9年

あーすフェスタかながわ*等のイベントに積極的に参加し、人とのつながりを大切にしているシュミットさん。日本語教室でのさまざまな出会いをきっかけに、ボランティアとして活動するようになりました。家族の絆を大切にし、何に対しても真剣に取り組む姿勢がとても印象的です。
*あーすフェスタかながわ「民族団体、NPO 及び行政等を構成団体とする実行委員会が主催し、 多文化共生社会の実現に向けて、毎年実施されているイベント。(事務局:神奈川県国際課)

日本に来た理由を教えてください

 イギリス留学中に知り合った日本人女性と結婚し、イギリスで暮らしていましたが、子どもの誕生をきっかけに日本で生活することになりました。出産に合わせ、妻だけ先に日本へ引っ越したのですが、東日本大震災が発生した直後だったので本当に心配しました。そのような中での娘の誕生は心に残る出来事でした。生まれた時は私も6週間ほど日本に滞在し、家族で過ごす幸せな時間を噛みしめました。妻と子と離れて暮らして1年ほど経ったころ、私も日本での生活をスタートさせました。

どのように日本語を勉強してきましたか?

 はじめは、テレビやインターネットなどを使って1人で勉強していましたが、なかなか習得できずにいました。しかし、来日して半年ほど経ったころ、地域の日本語教室に通い始めたのをきっかけに、どんどん日本語が上達しました。会話や文法、漢字など、さまざまな勉強をしたことはもちろんですが、何より、交友関係が広がり、積極的に行動する機会が増えたことが大きいと思います。

日本では、どのような経験をしましたか?

 日本人男性にドイツ語を教えたり、みんなでマス釣りに出かけたり、ボランティアさんの勧めで英会話教室を始めたりなどです。また、「なぜ日本に来たか」というテーマでスピーチコンテストにも出場しました。来日してまだ1年ほどしか経っていなかったため、本当にやり遂げられるか不安でしたが、夏の間毎日ボランティアさんと練習したり、一生懸命日本語を調べたりしたお陰で、スピーチを成功させることができました。この時の素晴らしい経験が、日本語について深く学ぶきっかけとなり、自分の日本語力への自信にもつながりました。

地域とのかかわりについて教えてください

 さまざまなイベントに参加していくうちに、ただ日本語を勉強するだけより良い経験ができると感じ、ボランティアとして活動するようになりました。英会話教室の他に、子どもたちにドイツの子どもの歌やダンスを教えたり、絵本の読み聞かせを行ったり、やさしい日本語のグループに参加したりしています。また、盆踊りなど地域の交流イベントにはできるだけ家族一緒に参加するようにしています。そこで新しい交流が生まれ、子どもも親たちも、より楽しい時間を過ごすことができるからです。

外国の方に、地域で楽しく暮らすためのアドバイスを

 交流イベントなどに積極的に参加し、人と人とのつながりをつくることが大切だと思います。お互いの文化に対する理解が深まる上に、日本語をレベルアップできるきっかけがたくさんあるからです。そして、それが日本で生活する上での自信にもつながります。私の場合は、「自分でも教えることができる」という自信が持て、ドイツ語の先生として語学学校で働くようになりました。
 5年ほど前からは、県立高校のALT(外国語指導助手)としても働いていて、ボランティアに仕事に、とても充実した日々を過ごしています。はじめはことばの壁などにより行動できないことも多いと思いますが、ぜひ、いろいろなことに挑戦し楽しく過ごせる機会をつくってみてください。

(掲載誌:情報冊子「にほんごコミュニケ―ション」2021年11月号)

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