国もことばも異なる2人が、友情を育みながら横浜での生活を楽しむお話(横浜市で暮らす外国人トークリレー/第6回)
外国につながる皆さんに、生活の中での日本語との関わりについて話していただくコーナーです。
エル さん
タイ出身/日本に住んで3年
「日本で売っている、いろんな種類のパンに興味津々!いつかパン屋さんで働きたいです。好きな日本語は”一生懸命”です。」
ニサンサラ さん
スリランカ出身/日本に住んで3年
「スリランカでは、学校の先生をしていました。いつか永住ビザを取得したいと思っています。好きな日本語は”がんばって!”です。」
今回のトークリレーは、横浜に住む仲良し2人組です。どちらもまだ日本語がほとんどわからない時期に出会ったそうです。ことばも文化も異なる中でのコミュニケーションのとり方、また、生活の楽しみ方など、2人の友情に迫ってみました。
2人はどこで知り合いましたか?
(エル*敬称略)ニサンサラさんとは、ハローワークが定住外国人向けに行っている日本語教室で知り合いました。2人とも日本語は初心者でしたが、日本語と英語を交えながら、一生懸命コミュニケーションをとりました。話しているうちにすぐに打ち解け、仲良くなりました。
(ニサンサラ*敬称略)お互いのことばの全てを理解できなくても、優しいエルさんといるとリラックスでき、楽しい時間を過ごせました。日本に来て初めてできたお友だち。エルさんと出会って、日本での生活がもっと楽しくなりました。
日本に来た理由を教えてください
(エル)タイで知り合った日本人男性との結婚で日本に来ました。来日後いろいろなところに行きましたが、日本の景色や清潔さが本当に大好きです。そして、主人はとても優しいです!
(ニサンサラ)日系企業で働く主人の転勤で日本に来ました。2人ともスリランカ人ですが、主人は日本語を話せます。日本といえばドラマ「おしん」のイメージが強かったので、着物を着ている人がほとんどいなくて少し驚きました。
2人で会うときの過ごし方は?
(エル)2人とも歩くのが好きなので、みなとみらいなどの横浜市内をお散歩しています。約束をする時は、通話アプリを利用し日本語で連絡しています。日本語での連絡は不慣れで時間がかかりますが、日本語の勉強にもなり、何よりニサンサラさんと会うのが楽しみなので、苦戦しつつも頑張っています。
(ニサンサラ)お散歩中はウィンドウショッピングや景色を楽しみながら、食べ物の話や生活で起きたことなどを、ほぼ日本語だけで話しています。職場でも日本語を使う機会はあるのですが、エルさんと話すようになって、もっと上達したように思います。最近では、たまたま通りかかったレストランにチャレンジするなど、「初めてならでは」のドキドキを2人で楽しむまでになりました!
日本での生活、困っていることはありますか?
(エル)銀行に行くとき、ことばが難しく毎回悩まされます。早く慣れたいと思っています。また、コロナ禍で夫の両親や隣の日本人のおばあちゃんにずっと会えないでいるため、とても寂しいです。
(ニサンサラ)病院で、症状を日本語で伝えることがとても難しいです。先日首を痛めたときには、エルさんに相談に乗ってもらい、何とか病院にかかることができました。専門的なことばを使う日本語は、まだまだ難しく感じます。
これから友達をつくりたいみなさんに、ひとこと
出会ったころは、文化やことばの違いから上手にコミュニケーションが取れず、戸惑うこともありました。けれど、同じでないからこそ楽しいですし、なにより「仲良くなりたい」という強い気持ちが、私たちの距離をぐっと近づけてくれました。同じ境遇どうしだと共感できる部分もたくさんあるので、仲良くなれて本当に良かったなと感じています。皆さんもぜひ、心の友を見つけてください!
(掲載誌:情報冊子「にほんごコミュニケ―ション」2021年9月号)