日本語コミュニケーション ~つなげよう、広げよう~「日本文化」を通してつながる(情報冊子 2021年6月号掲載)

 鶴見国際交流ラウンジ交流部会では、在日外国人と日本人とのつながりを探し、さまざまな交流プログラムを実施してきました。2020年秋には、日本の食文化の代表ともいえる「日本酒」の奥深さを、各国の人々と共に知る機会をつくりました。

レポーター:日高嘉恵さん(鶴見国際交流ラウンジ交流部会コーディネーター)

「運営者と参加者共に活動を“楽しむ”ことを大切にしています。」

鶴見国際交流ラウンジ交流部会 ~文化の相互理解を目指して~

 鶴見国際交流ラウンジには4つの部会(交流部会・日本語部会・学習支援部会・情報部会)があり、各部会のコーディネーターがボランティアと共に事業の企画・運営を行っています。交流部会では、外国人と日本人がともに参加できるイベントを、年に6回ほど開催しています。
 イベントを決定するにあたっては、毎月定例会を行い、テーマや内容を話し合います。「多文化の街・鶴見」の特長を活かせるよう、さまざまな国の文化をテーマにし、「文化の相互理解」を目標としています。今年はベトナムの方がメンバーに加わったので、さらにバラエティ豊かな活動ができると思っています。

日本語で深まる文化理解 ~酒蔵ツアーを開催して~

 2020年10月11日、コロナ禍の中でも交流できる場を設けたいという思いから、小田急新松田駅までの小さな旅「酒蔵を訪ねる」を開催しました。神奈川県丹沢のふもとで、日本古来の製法を守り酒を醸造している蔵元「川西屋酒造店」にご協力いただき、酒造の設備や日本酒の製造工程の見学をしました。参加者は総勢16名で、ペルー、ボリビア、ブラジル、ベトナムの方々が参加しました。

 酒の酵母を守るため、参加の前日より納豆、ヨーグルト食は禁止。日本人スタッフも初めて触れる酵母菌の繊細さに、外国の参加者たちも大変興味深いようでした。蔵人による日本酒にまつわるお話はとても楽しく、見学後は試飲会もありました。日本酒には馴染みのない国の方々も興味深く参加してくれ、日本酒の奥深さを味わいました。
 料理好きなベトナムのIさんは「つまみ」に興味を持ち、蔵人による日本酒に合うつまみの話や、鰹節に日本酒を注ぐ飲み方を熱心にメモしていました。また、普段はワインを嗜むというペルーのご夫妻は、「晩酌」という日本のことばと習慣に興味を持ち、日本の生活習慣をもっと知りたいと話していました。さらに、日本酒は材料となるコメが大事との話から、アンケートに「田植え」を見てみたいと書いた方もいました。

 新たに知る日本語で、新たな日本文化を発見できた今回のイベント。今後も、相互理解を深められるようなイベントを企画していきたいと思います。

新しい取組みの紹介 ~人々や文化を知るためのイベント~

2020年度、交流部会では2つの新しい取り組みを企画中です。

多文化の街・鶴見の中でのさまざまな人々との相互理解 
 昨年度、朝鮮幼稚園と沖縄県人会を訪ねて歴史・文化を学んだことに続き、今年度は、改正入管法(出入国管理及び難民認定法)により1990年以降に来日した、主に南米出身の方に焦点をあてた企画を考えています。続いて来年度には、近年来日が増加傾向にある中国、フィリピン、ベトナム、ネパール出身の方等に焦点を当てて、ストーリー性のあるプログラムを、3年間継続的に企画していく予定です。

着物を通じた日本の服飾文化への理解
 鶴見区にある着付け教室との共催で、「きものを着ましょう」を毎月1回開催する予定です。きものに触れるチャンスの少ない外国の方たちが、着付け師による着付けを体験できます。金屏風の前での写真撮影も行いたいと思います。夏には 浴衣ワークショップも企画中です。

館長よりひとこと

 昨年度は、緊急事態宣言の中で始まりました。人を募り、語り合うことから始める交流部会活動にとっては、それこそ緊急事態となり、イベントをどうするかは大変頭の痛い問題でした。そのような中でもコーディネーター中心に部会メンバーが協力して知恵を絞り、TPO全ての検討・調整等を行ったことで、今回紹介の多彩なイベントが実施出来ました。今年度も、鶴見区の歴史を学びながら各種イベントを催行し、だれもが安心して豊かに生活できる「多文化共生のまちづくり」の一助となることを目指します。(館長・小林貞幸)

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