技能実習生として介護施設で働くお二人が、大切にしていることとは…?(横浜市で暮らす外国人トークリレー/第16回)

エムさん&リコさん

インドネシア出身/日本に住んで1年半

 技能実習生として来日し、横浜市の介護施設で働いているお二人。インドネシアでは同じ日本語学校の寮で、1年ほど一緒にらしていたそうです。終始穏やかな雰囲気で、優しくゆっくり質問に答えてくださいました。

日本に来た理由を教えてください

<エムさん>
 幼少期から日本の映画やアニメ、音楽を楽しんでいたので、いつか日本に行きたいと思っていました。日本語の勉強がしたくて、専門学校を卒業後、インドネシアにある日本語学校に入りました。

<リコさん>
 通っていた高校に、日本語学校の先生がいました。先生といろいろな話をするうちに日本に興味をもち始め、行ってみたいと思いました。

お二人とも日本語がとてもお上手です。どのように、勉強してきましたか。

<エムさん>
 リスニング力は、主にアニメで習得しました。話す機会があまりなかったので、来日するまでの1年くらいはインドネシアの通話アプリを使って、日本人とたくさん会話をしました。おととしの12月には、介護の日本語研修を受けました。

<リコさん>
 日本に来る前は、主に日本語学校で勉強しました。その他YouTubeのチャンネルをみて、文法やさまざまな状況での会話の仕方や、日本の文化についても学びました。

横浜での生活は、どうですか。

<エムさん>
 スマホさえ持っていればたいていのことができて、とても便利です。また、電車など混んでいてもとても静かで驚きます。インドネシアは、もっと賑やかです。

<リコさん>
 「これがしたい/ここに行きたい」がかないやすい場所だと感じます。また、街中の案内板やパンフレットなどの説明がとても親切で、外国人も暮らしやすいです。
 日本に来る前は土地勘がなく、「東京と大阪の真ん中だから」「富士山が近いから」という理由で何となく横浜を選びましたが、今では「横浜を選んで本当に良かった」と思っています。都会も田舎もあって大好きな場所になりました。

<エムさん>
 私は、好きなアニメが横浜や関東を舞台にしたものが多かったので、横浜で働くことを希望しました。アニメの聖地にもいくつか行きました。暖かくなったら、山登りもしたいと思っています。

介護の仕事は、どうですか。

<エムさん>
 まず、職場の雰囲気がとても良いです。職員の皆さんが優しいので質問がしやすく、スムーズに仕事ができています。また、いつも私たちを見守ってくれていて、職員さんの方からフォローを入れてくれることもよくあります。

<リコさん>
 働き始めたころは心配の方が大きかったけれど、職場の人間関係が素晴らしいので仕事を楽しむことができています。

<エムさん>
 一方で、介護現場で使う専門用語がとても難しいです。特に、身体の部位の名前に苦戦しています。ことばが分からない時は、近くに職員さんがいたらフォローしてもらっています。そして、休憩の時間に自分で調べて勉強します。

<リコさん>
 私は、利用者さんの状況を次のシフト担当者に引き継ぐ時に(申し送り)、時間がかかってしまいます。なぜなら、普段は使わないような難しい表現や、介護のことばが多いからです。事故があってはいけないので、とても気をつかいます

介護の仕事をする上で、大切にしていることはありますか。

<エムさん>
 利用者さんの話を優しくうなずきながら聞いてあげるなど、お互いが安心して過ごせるような雰囲気づくりを大切にしています。

<リコさん>
 利用者さんのお手伝いをする時は、自分のお母さんのように接しています。身体の状態を見ながら、心を込めて、優しく丁寧にケアをするよう心掛けています。

将来のことについて、教えてください

<エムさん>
 この仕事も横浜での生活も楽しいです。3年間の契約が終わったら、またここに戻りたいと思っています。資格を取得してステップアップし、介護の仕事を続けていきたいです。

<リコさん>
 技能実習が終わったら、特定技能を取得したいと思っています。そのためにも、今よりもっと日本人とコミュニケーションがとれるようになりたいです。私はシャイなので、普通のことでも緊張しすぎてことばが出てこないことがあります。でも、日本人と話すと、難しくても「嬉しいな」と感じます

YOKE主催の日本語教室「今すぐ使える!しごとのにほんご」を受講して

<エムさん>
とても楽しい日本語教室でした。いろいろな人とおしゃべりができたので、とても良かったです。また、これまで知らなかった敬語や言い回しなどたくさん学ぶことができ、受講後は「ことば遣いをもっと気を付けないと」と思うようになりました。

<リコさん>
仕事で使う日本語について、しっかり学べました。会話の練習だけでなく日本の会社のマナーなども知ることができたので、職場でのコミュニケーション力がアップしました。それが一番嬉しいです!

YOKEから

日本語教室でも、他の生徒さんに優しく丁寧に寄り添っていたエムさんとリコさん。話すときは、相手に分かりやすく伝える工夫をしていました。そんなお二人と接し、利用者さんも安心して過ごしているのではないでしょうか。仕事もプライベートも楽しく過ごせるよう、これからも応援しています!

(掲載誌:ニュースレター「にほんごコミュニケ―ションmini」2025年3月号)

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