転職先の介護施設で奮闘中!「介護は『こころの仕事』」と語る、ホさんのお話(横浜市で暮らす外国人トークリレー/第3回)
外国につながる皆さんに、生活の中での日本語との関わりについて話していただくコーナーです。
レ・ティ・ホ さん
ベトナム出身/日本に住んで16年
介護職員
10年以上クリーニング業界で働いていたホさん。
介護職への転職を決意し、介護分野で働く意欲のある外国人等に対する「介護職員初任者研修」を受講しながら、今年9月より介護施設で働いています。常に「人のため」にできることを考えているホさんです。
日本に来た理由を教えてください
妹の結婚のお祝いで、家族で日本旅行に来たのがきっかけです。日本の景色や桜、雪などがとても楽しみでした。当初は旅行だけで日本に住む予定はありませんでしたが、滞在中に縁あって日本で生活することが決まりました。以来約16年、一人息子の子育てをしながら日本で暮らしています。
どのように日本語の勉強をしてきましたか?
当初日本に住む予定はなかったので、ベトナムでは特に日本語の勉強はしていませんでした。日本語の知識が何もなかったので苦労しましたが、来日後しばらくは、祖父が持っていた日本語のテキストを使い、独学で勉強をしていました。
その後、地域の日本語教室に通い、読み書き・発音などの勉強をしました。日本語教室では、ボランティアさんに日本語の勉強の他、災害時の対応方法や子どもの学習支援など、生活に関わることについてもサポートしていただきました。最近は仕事が忙しく、日本語教室に通えていませんが、今でもボランティアさんが心配して連絡をくれたりしています。また、近所に親しい友人もでき、日本語の勉強も日々頑張っています。
介護の仕事を目指した理由は?
学生の頃、看護師になるという夢がありましたが、家庭の事情で違う道に進みました。その時の夢がどうしても諦められず、同じ「人の役に立つ」仕事である介護職への転職を決意しました。今年の9月から働き始めたばかりですが、利用者さんに感謝されることも多く、やりがいを感じています。また、コミュニケーションをとることがとても大切なので、介護は「こころの仕事」だな、と思っています。
転職後、日本語で困ったことはありましたか?
今回転職するまでの仕事では、ベトナム人スタッフが多かったこともあり、日本語をあまり話さない環境で働いていました。今の職場はほとんどが日本人のスタッフなので、日本語を話さない日はありません。
先日、ケア中に利用者の洋服がお茶で濡れるアクシデントがありました。スタッフにその経緯を説明できず困っていましたが、同僚に表現方法を教えてもらい、無事に報告することができました。毎日のように分からないことばがあったりしますが、日々のこうしたやり取りが、コミュニケーション力のアップにつながると感じています。日本語を使う機会が格段に増えて、大変ですが嬉しいです。
今後やりたいことはなんですか?
まずは、日本語で学校の先生と息子の進路相談などができるようになりたい。そして、息子が「新たに挑戦したい」ことをかなえる力になってあげたいです。
また、いつ実現できるかは分かりませんが、大きい夢が2つあります。1つめは、ベトナムで日本の介護の状況を伝えること。2つめは、日本へ留学したい子どもたちをサポートすることです。ベトナムで日本語を勉強するにはお金がかかります。金銭的な理由で夢を諦めなければならない子どもを、1人でも減らしたいと思っています。
(掲載誌:情報冊子「にほんごコミュニケ―ション」2021年1月号)