コロナ禍における生活の変化…留学生の話を聞いて(情報冊子2021年1月号掲載)
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横浜市国際学生会館に入居中のお二人に、学業のこと・生活のことなどを聞きました。
Aさん
ネパール・男性
専門学校 国際ビジネス学科2年
2017年に来日
Bさん
中国・男性
大学院 教育学研究科・修士2年
2018年に来日
新型コロナウィルスの感染拡大が始まった春休みは、もともと留学生の一時帰国や引っ越しが盛んな時期です。今もさまざまな制限がある中、留学生はどのように過ごしているのでしょうか。
*横浜市国際学生会館:外国人の留学生、研究者等に宿泊施設を提供するとともに、市民の国際理解を推進するために設置された会館です。指定管理者はYOKE。
学生会館での生活はどうですか?
<Aさん>
今年4月に学生会館への引っ越しを予定していましたが、コロナの影響で入居できなくなってしまい、とても大変でした。春休みにネパールに一時帰国をしたところ、日本に再入国できなくなってしまったのです。いつ戻れるか心配だった上、飛行機代は2倍以上に高騰。6月にやっと日本に戻ってきた後も、2週間隔離生活をしなければなりませんでした。
そのような中での入居だったので最初はとても不安でしたが、今は、みんな家族みたいで、本当に心地よいです。たとえば、8月に体調を崩したときは、周りの人が助けてくれました。病院へ行くときも学生会館のスタッフが手伝ってくれて、ホっとしました。
<Bさん>
隣室の学生と仲良くなり、楽しく生活しています。コロナということで、ラウンジや友達の部屋に遊びに行くことはないですが、マスクをし、廊下で距離をとって話をしたりしています。
学習環境・留学生活はどう変わりましたか?
<Aさん>
以前はほぼ毎日学校に通っていましたが、今はそうではありません。1回あたりのクラスの人数が20人から10人と半分になり、学校に通う頻度も半減しました。通学する日はマスクをして、友達とコミュニケーションを取るときは近くに座らない、など気をつかっています。
コロナウィルスの心配は尽きないですが、学校がある日はほとんど休まず通っています。生活面でも変化が起きています。ネパールから日本に戻ってきて間もない時期はアルバイトができず、経済的に困り、ローンを組んだこともあります。今では以前から働いていたアルバイト先で仕事を再開。勤務時間が短縮されてしまいましたが、なんとか生活できています。
<Bさん>
今年度、前期の授業はすべてオンラインとなりました。緊急事態宣言が出されていた時は図書館にも行けず、大学構内にも入れませんでした。短い学生生活なのに制限が多く、とても悔しいです。そして中には、やむを得ず、研究内容を変更した学生もいます。専攻がイタリアやイギリスで、現地に滞在しての調査研究が必要な学生たちです。渡航できないので仕方ないですが、卒業を目前に研究内容を変えるのは、かなり大変なことです。
そして私も、生活面、特に経済面で大変な思いをしています。以前は音楽団体でのインターンやコンビニでのアルバイトもしていましたが、今はどちらもできません。アルバイトは4月ごろまでしていましたが、家族が感染を心配していることもあり、やめました。今は貯金を崩しながら生活しています。親に頼るなんて恥ずかしいので、自分で頑張ろうと思っています。
ハロウィンパーティーでの様子:感染症対策に気を付けながら楽しみました。
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母国の状況と今後について教えて下さい。
<Aさん>
日本で緊急事態宣言が発令されていた4月ごろ、ネパールの感染状況は1~2人でしたが、今は増えていると聞いています。コロナ禍の大変な状況は続くと思いますが、日本で就職したいと考えています。今できることを考え、この状況を乗り切りたいと思っています。
<Bさん>
中国では感染が広がり大変な時期もありましたが、家族は大丈夫でした。日本の人と自然が好きなので、私も日本で就職したいと思っています。このような時期での就職活動はとても大変だと思いますが、頑張ります!
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これから日本で就職をしたいお二人、コロナ禍でいろいろ大変だと思いますが、自分の夢に向かって、変わらぬ努力をすることは間違いないと信じます。お二人に明るい未来がありますように!
館長よりひとこと
2020年は世界中の人が平穏な日常を失った年でした。学生会館の学生も、学校は閉校となり、外出も自粛を余儀なくされ閉ざされた毎日を送ることとなりました。しかし、コロナ禍でも少しでも楽しくしようと、学生たちは感染予防を遵守しつつ、オンラインビンゴ大会や屋上庭園での星空映画会、鶴見deお散歩、花火大会を実施し、親睦を深めました。
事務室は学生の困窮を心配し、いろいろな生活相談に乗りながら、ボランティアの皆さんに声をかけ、たくさんの食糧物資を支援していただきました。厳しく寂しいこの時期に学生会館で過ごした思い出を励みに、世界を翔ける活躍に期待しています。
(学生会館館長・平田 大登)
(掲載誌:情報冊子「にほんごコミュニケ―ション」2021年1月号)