連載①「相手も自分も大事にする」コミュニケーションのための心理学 ~第1回:傾聴(情報冊子 2021年9月号掲載)

 日本語ボランティアの皆さんが、学習者と向き合い、活動をする際に役立つ“心理学のエッセンス”を紹介する連載です。

 第1回目のテーマは、支援者が学習者と信頼関係を構築する上で欠かせない「傾聴」です。

執筆/石井 未奈子さん

 相手の話をただ聞くだけではなく、話を理解しようと熱心に耳を傾ける「傾聴」には、以下のようなさまざまな効果があります。

効果①

 支援者が学習者の話を傾聴することで両者の関係がONになり、信頼関係の土台が築かれます。これにより両者のコミュニケーションがスムーズになり、人間関係が良好なものになります。

効果②

 人は傾聴されることで「大切にされた」と思い、生き生きと自分らしく生きられるようになります。結果、相手の心の支えにもなることができます。傾聴は、多様な文化的背景を持つ学習者に寄り添い、信頼関係を築く上でも欠かせない方法と言えます。

 「傾聴」の本質は、相手のことを相手の身になって理解するとともに、そのありのままの相手を受け入れることにあります。
 以下にいくつか「傾聴実践スキル」を紹介しますが、「傾聴」の実践は簡単なものではありません。まずはスキルありきではなく、その背景にある「傾聴」の本質を十分に意識しながら、実践することを心がけてみてください。

傾聴実践スキル

その1座る位置や距離等に気を配る

”どういうふうにしたら、安心して話せそうかな…?”
”全体を見る?目を見る?真正面で向き合う?それとも45度?”

直接相手に確認してもOK!

その2うなずき・あいづち(簡単受容)

相手の方を見ながら大きく、ゆっくり、うなずく。あいづちのバリエーションは豊富に。

「うんうん」「はい、はい」
「そうかぁ」「なるほど」…

その3大切なキーワードを短く繰り返す

なかなか言い出せなくて、どうしようって困っていたの

うんうん、それは困るわね

その4相手のメッセージの要点をことばで返す

ダメだって分かっていたのに、本当にそうなるとすごく辛いの

分かっていても、すごく辛いのね

その5話の流れに沿った質問をする

話に応じて「開かれた質問(相手が自由に答えられる質問)」と「閉じられた質問(「はい」「いいえ」ないしは、ひとことで答えられる質問)」をする。尋問にならないよう注意。

◆石井未奈子さんプロフィール◆
臨床心理士・公認心理師・横浜市学校 カウンセラー

前職はYOKE職員。「多様な人の人生を応援する心理職」を志し、様々な自治体の教育現場でカウンセラーとして勤務。来年でカウンセラー勤務10周年を迎える。

 次号のテーマは「勇気づけ」です。

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