外国人とともに働くために、大切なこと(情報冊子 2022年3月号掲載)

 少子高齢化が進み労働人口が減少している日本では、さまざまな分野において外国人労働者の受入れが活発化しています。 しかし、コミュニケーションに不安があるゆえに、外国人雇用に取組んでいない企業も多いようです。
 今回は、外国人従業員を前向きに採用しているヤマセ精機株式会社さんのお話を伺いながら、外国人とともに働くために大切なことを考えていきたいと思います 。

  2021年10月末現在、神奈川県内で外国人労働者を雇用している事業所は18,476か所、外国人労働者数は100,592人にのぼり、コロナ前の2019年と比較しても増加傾向となっています(表1)。
産業別では、製造業や卸・小売業に従事する比率が高く、また、国籍別でみると、中国、ベトナム、フィリピンの3か国の方々で6割を占めます(表2)。

  日本人の生産年齢人口が減少する一方で、それを補うように外国人労働者が地域経済の担い手として増大している現状があり、日本人と外国人ともに、働きやすい職場づくりが現実的なテーマとなっています。(出所:神奈川労働局「外国人雇用状況の届出状況まとめ(令和3年10月末現在)」より)

  横浜市にあるヤマセ精機(株)では、現在ベトナム出身のタンさんを迎え入れ、ともに仕事をしています。外国人の雇用に前向きな同社では、どのように外国人労働者を受け入れているのでしょうか。代表取締役高橋正徳さんをはじめ、タンさんの同僚の先輩である佐々木さんと杉山さんにもお話を伺いました。

ヤマセ精機株式会社のみなさん

代表取締役 高橋さん(中)
同僚の先輩 佐々木さん(左) 杉山さん(右)

ヤマセ精機株式会社は、超精密金型部品加工を主力に高度な加工技術を駆使した製品を製造している会社です。

*敬称略

外国人を雇用した経緯について教えてください

(高橋)今うちで働いているタンさんは、前に働いていた別のベトナム出身者からの紹介で、製造業での実務経験もあったため採用しました。これまでもタイやベトナム出身者を雇用していたことがあったので、受入れに際し不安に思うことは特にありませんでした。

タンさんの働きぶりはいかがですか?

(高橋)日本語はN3レベル(*)のタンさんでも、ことばの問題はありました。ただ、こちらの言うことは伝わっていたため、業務に大きく影響することはありませんでした。タンさんは人なつっこく明るい性格で、職場のみんなにもすぐに受け入れられていました。ともに働く上では、そこ(人柄やコミュニケーション力)が一番大切なことだと思っています。仕事も真面目に取り組んでくれ、内容によっては一人で全工程をこなすこともあり、活躍の場は広がっています。

*N3:日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる。(日本語能力試験/JLPT)

タンさんとのコミュニケーションで、工夫しているところはありますか?

(佐々木)現場では「寄り添う」ことを大切にしています。彼の作業をできるだけ見守り、指示が伝わっていない様子があればもちろん確認をしています。

(杉山)私はゆっくり話すよう心掛けています。話が伝わったかどうかは、話をした後の表情を見て確認しています。また、話した内容をタンさんに繰り返してもらい、間違った伝わり方にならないよう気を付けています。

(佐々木)私も彼の表情をみながら話をしています。その際に、彼の返事が「わかった時の『ハイ』なのか、わかっていない時の『ハイ』なのか」を表情からも読み取るようにしています。

外国人とともに働くなかで、ご自身の変化や影響はありましたか?

(佐々木)仕事をする上で関わる相手が、外国人だから、日本人だからということでの意識の変化はありません。技術的にフォローする自分の役割自体は変わらないからです。

(杉山)タンさんからベトナム人コミュニティの宴会に誘われ参加したことがありました。周りはベトナム出身者だけで、自分一人が会話についていけず、ベトナム語を話せたらどんなに楽しいだろうとその時思いました。逆に、職場でのタンさんの置かれている状況がわかる気がしました。そのような経験もあって、コンビニで外国人の店員さんがいると、ゆっくりしゃべったり、話しかけたりするようになりました。応援したい気持ちになります。

今後も外国人を採用する予定は?

(高橋)日本人と並行し、外国人の採用も考えています。
実は今、ミャンマー出身者の採用を予定しているのですが、本国の情勢から現地で待機状態が続いていてとても気がかりです。これまでの経験から、外国人はまじめな人が多いと感じています。やる気のある人なら誰でもウエルカムです。YOKEとは今後とも連携したいと思っています。外国人の日本語レベルのチェックなどにも協力してくれるととても助かります。

タンさんから、ひとこと

仕事はとても楽しくやりがいがあります。みんなとても優しくて、困った時はいつも助けてくれます。仕事をもっとスムーズに進めるためにも、みんなともっと楽しく過ごすためにも、日本語が上手になりたいです。

 2019年にYOKEが行った企業向調査では、外国人雇用に取組んでいない理由に「コミュニケーションの不安」を挙げる回答が多くありました。厚生労働省では「外国人雇用対策の在り方に関する検討会」を開き、中間取りまとめを2021年6月に発表しています。それによると「外国人の職場への定着のためには、外国人に対して日本の職場への理解を深めることを求めるのみならず、受入れ企業側に対しても、外国人労働者の長期キャリアを前提とした就労環境整備が進められるべき」と提言しています。

 日本人と外国人双方がともに働きやすい職場づくりは、結果的に外国人労働者の定着と活躍、ひいては受入れ企業の生産性の向上にもつながることを、今一度共有することが大事であると思います。YOKEでは企業を対象に、外国人従業員向けの日本語教室と日本人従業員向けの異文化間コミュニケーション講座を開いています。今後もコミュニケーション支援の側面から外国人の就労環境の整備を応援し、職場の活性化に向け、企業、業界団体の皆さまと連携を強化して取組んでいきます。

人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備を行い、外国人労働者の職場定着に取り組む事業主に対して、その経費の一部を助成します。

外国人雇用のルールに関するパンフレット
外国人が在留資格の範囲内でその能力を発揮しながら、適正に就労できるよう、事業主の方が守らなければならないルールなどを解説しています。

外国人労働者の人事・労務に関する3つの支援ツール
外国人社員と働く職場の雇用管理のポイント・例文集や、雇用管理に役立つ多言語用語集を掲載しています。また、モデル就業規則のやさしい日本語版もあります。

外国人雇用管理アドバイザー
外国人労働者の雇用管理や職業生活上の問題等について無料で相談・支援を受けられるサービスです。

*出典:厚生労働省ホームページ

関連記事