インタビュー:「ことばだけではないサポート」をとおして、地域で暮らす外国人のステップアップをサポート(情報冊子 2024年3月号掲載)

木下 真梨子さん
日本語コミュニケーション教室「ヨコハマ・ナデシコサロン」を運営。フリーアナウンサーとしてリポート、司会などを務めた後、かねてからの夢だった「日本語コミュニケーション教室」を横浜市内に開きました。YOKEでは、初期日本語教室「はじめての横浜」の講師を務めるなど、地域のために奮闘中です。

日本で生活する外国人の中には、日本語や日本の文化・習慣などに触れるきっかけがなく、活躍する機会に恵まれない方も多いようです。「そのような方たちが、本来の力を日本でも発揮できるようお手伝いをしていきたい。」― そう語るのは、“思いの伝わる話し方”を軸に、日本語教師として活躍する木下真梨子さん。一人一人の気持ちに寄り添いながら、地域で暮らす外国人のステップアップに貢献しています。

自身の役割を見出したデンマークでの短期留学

日本語教育について広く学び、留学生のサポートなどで国際交流を深めた大学時代。今の活動につながる大きな転機になったのは、2年の時に経験したデンマークへの短期留学です。はじめて外から眺めた日本がとても素晴らしく感じられ、また、さまざまな国の人と付き合う中で、自身の「人と人をつなげる」特技に気付くことができました。この2つの気付きが結びつき、また、外国人住民の多い横浜で暮らしてきた経験から、「いつか外国人と日本をつなげる活動をしたい」という夢を抱くようになりました。

その人の人生を変えることができる、大切な場所

家族で来日する外国人のうち、仕事も学校もないお母さんたちの「日本語に触れる機会がない」「母国にいた時のように活躍できていない」との声を何度も耳にしており、そのような方たちの力になりたいという思いから、日本語教室を立ち上げました。日本に馴染めず殻に閉じこもっていた生徒さんが笑顔を取り戻し活躍の場を広げていく姿を見るたびに、日本語を通して寄り添うこのような場が、「その方の人生を変えることができる大切な場所」であると再認識します。

地域と行政のつなぎ役になるための、第一歩

私の教室や日本語学校などでは、日本語能力試験の合格、転職のための日本語学習など結果を出すことを主な目的としていますが、地域の日本語教室はそうではありません。生活に必要な情報を共有したり交流したりなど、日本語を勉強しながら「地域と外国人をつなげること」を大切にしています。YOKE事業に参加し地域日本語教育に触れたことで、より多角的な視点で多文化共生について考えるようになりました。また、さまざまなニーズ・レベルの方を一度に受け入れるため、その対処法や体験談などを講師やサポーターの方から伺う大切な機会となっています。
今後もたくさんのつながりを築きながら、地域と行政のつなぎ役として「ことばだけではないサポート」をしていきたいと思っています。また、どちらの学びの場も大切にしながら、地域の外国人の駆け込み寺となるような場所をつくっていきたいと思います。

こぼれ話1:心に残った外国人 – 憧れの企業へ転職

とあるインド人の男性。転職サポートの要望があり、面接の練習から電話応対、資料のブラッシュアップなどのお手伝いをしました。かなり狭き門で、入社できたのはなんと彼1人!夢を叶えるお手伝いができて嬉しかったです。異国の地でステップアップしていく彼を見ると、私も刺激を受けます!

こぼれ話2:オンライン初期日本語教室「はじめての横浜」講師として参加しました

カリキュラムは、他の講師の方たちと相談しながらつくり上げるため、毎回新しい発見がありワクワクします。1番嬉しいのは、ビギナーで入った学習者さんが自信を持って話せるようになることです。いろいろな国の方と知り合うことができ、教わることも多いのでとても楽しいです。

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