インタビュー:地域子育て支援拠点スタッフに聞く、外国人親子と地域をつなぐ工夫と思い(情報冊子 2023年11月号掲載)

西区地域子育て支援拠点 スマイル・ポート

澤木 麻利子さん
子育て支援、通訳ボランティアなどの活動を経て、現在は多文化共生担当/英語スタッフとして、外国人利用者のサポートをしています。

西山 孝子さん
西区主催の赤ちゃん教室など親子にかかわる活動に長年携わり、現在は横浜子育てパートナーとして、育児などに関するさまざまな相談に乗っています。

横浜市の各区にある「地域子育て支援拠点」。0歳から就学前の子どもとその親などが気軽に交流・相談ができる場所として、横浜市が設置しています。「ことばや文化の壁で孤立しやすい外国の方にも、積極的に利用してほしい。」― そう語るのは、西区地域子育て支援拠点 スマイル・ポートの澤木さんと西山さん。外国人親子と地域をつなぐための工夫や思いを語っていただきました。

スマイル・ポートは、親も子もホッとできる場所

澤木:スマイル・ポートがあるみなとみらいは、家族の転勤で来日し「英語は話せるけど日本語はあまり…」という外国の方が比較的多いエリアです。コロナ禍の収束と共に、英語での相談件数は増加傾向にあります。

西山:英語で話を聞く時は、相談専門スタッフである私も一緒に対応しています。はじめは緊張している皆さんも、日本人ママと接していくうちに明るい表情になります。まずは、勇気を持って来てもらうことが第一。笑い合ったり、助け合ったり…ホッとできる空間が広がっています。

外国人保護者へのアプローチの工夫

澤木:国ごとの事情により、地域などのコミュニティに入れないでいる方もいます。そのような方にもアプローチできるよう、母子健康手帳交付時や保健師の家庭訪問時などに、スマイル・ポートのチラシも届けてもらっています。

西山:来所の機会を増やすため、実施するプログラムにも工夫をしています。はじめて利用する方でも参加しやすい「スマイルデビューday」や、日本語が話せない方でも気軽に参加できる「やさしい日本語でおしゃべり」などを月に1回開催しています。

‶子育ての日本語″で生まれるコミュニケーション

澤木:お子さんには、敢えて日本語で話しかけるようにしています。「〇〇ちゃん、上手だね」など、簡単な日本語で褒めます。子育ての日本語を聞いたお母さんは、隣の日本人親子に「上手だね」「かわいいね」と覚えた日本語で声をかけます。それをきっかけにママ同士の交流が始まり、つながりが広がっていきます。

西山:外国の方とコミュニケーションをとる時、どうしてもことばの違いにとらわれがちですが、実際には少しのことばだけで分かり合えることが多いと思います。実際に、ここに来ているママたちは、カタコトの日本語と英語で大笑いするほどに盛り上がっています!

澤木:国は違っても同じ「子育て仲間」。そこが大きな共通点であって、ことばはその次。子育てに関するやさしい日本語を意識して使いながら、自然と生まれる交流を大切にしていきたいです。

こぼれ話1:ママ同士のつながりを何よりも大切に

発達に特性を持つお子さんとその保護者が集う定例会に、外国の方が思いつめた面持ちで参加しました。母国との制度の違い、ことばの壁…1人では解決できない問題を多く抱えていましたが、ここでつながった日本人ママたちがサポート。現在もママ同士の交流は続き、楽しく過ごしています。

こぼれ話2:親子日本語教室を開催して

2023年10月、「親子日本語教室(YOKEとの共催)」として、親子ヨガを行いました。子どもたちも一緒に、やさしい日本語でヨガを楽しみました。今後もさまざまなプログラムを開催していきます!

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