インタビュー:「地域日本語教育×オンライン」オンラインを活用して、日本語学習機会を1人でも多くの人に(情報冊子 2023年7月号掲載)

小野 里香さん
関西地域でのボランティア活動を経て、2018年より横浜市都筑区にあ る日本語教室「あいうえお つづき」で日本語ボランティアをしています。 YOKE事業では、ウクライナ避難民のための3つの日本語教室の運営や、オンライン初期日本語教室の講師を務めました。

外国人人口の増加に伴い、地域日本語教育の分野もどんどん広がりを見せています。その一方で、さまざまな事情により日本語学習機会に恵まれない外国人も多いと言われています。 「そこで普及させたいのが、対面だけにこだわらない日本語学習支援の形です。」― そう語るのは、国際交流の場で長らく活躍してきた小野里香さん。地域の笑顔を増やすべく、日々奮闘中です。

ボランティア活動の原動力は、国際交流で生まれる「ワクワク感」

地域日本語教育の分野に進むきっかけになったのは、国際交流を目的に参加した多文化交流サークルでの経験です。約20か国の方たちと楽しく交流を深める中、「日本語を教えたい」という気持ちが芽生えました。その後、尼崎市国際交流協会でボランティア活動を本格的に開始。日本語教室の立ち上げ及び、事業の企画運営に携わりました。子育て、ボランティア入門講座の受講と忙しい時期でしたが、「国際交流の場をつくる」というワクワク感の方が大きく、楽しみながら活動に励んでいました。

学習者との交流が、私自身の成長に

日本語ボランティアをしていてやりがいを感じるのは、学習者の方から成功体験を聞くとき。お手伝いができたことに喜びを感じます。また、学習者とさまざまなテーマに沿ったフリートークをよく行うのですが、いろんな国の文化や考え方など教わることも多く、いつも好奇心をくすぐられています。この「学習者からの学び」がボランティア活動をする上での糧になっていて、私自身の成長にもつながっています。

オンラインを活用して、日本語学習機会を1人でも多くの人に

私が活動している都筑区は、横浜市の中でも日本語教室が多いエリアです。そのようなエリアでも、育児や仕事などの理由で、その恩恵を受けられない方が多くいらっしゃいます。そこで取り入れたいのが、オンラインを活用した日本語支援です。日時や場所に縛られないため、これまで学習機会を得られなかった方にも支援が行き届きやすくなります。コロナ禍でオンライン化が進んだことにより、日本語支援の形にもこれまでにない「変化」が起こりました。私はこれを良い転換期だと捉え、「地域日本語教育×オンライン」の普及に向けて準備を進めています。型にはまらない私流のスタイルで、地域の皆さんに寄り添いながら、切れ目のない支援の形を模索していきたいと思います。

こぼれ話1:心に残った学習者

「漢字の勉強をすると、母語の語源を知ることができます。」そう教えてくれたベトナム人の男性です。ベトナムは非漢字圏の国ですが、歴史的に中国語の影響が残っていて、漢字を語源としたことばが多いのだとか。日本語の発音と似ているものもたくさんあるので、皆さんも調べてみてください!

こぼれ話2:ウクライナ避難民を対象とした日本語教室を運営して

避難民の皆さんが安心して暮らせるよう、日常生活に必要なことばや文化、習慣などを一緒に学びました。教室によって開催場所を変え(ウクライナ交流カフェ「ドゥルーズィ」、団地の集会所、オンライン)、少しでも多くの方が気軽に参加できるよう工夫しました。手探りをしながらの運営となりましたが、講師の方々にご協力いただきながら、全ての教室を滞りなく終えることが出来ました。避難民の皆さんの笑顔をつくるお手伝いができて、本当に嬉しく思っています。

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